―――色の定義―――


向日葵色の髪、太陽の様な金色の瞳。
その赤いコートとは正反対の青空がアイツのイメージ。

その過去はその青空の様な心とは裏腹で。その笑顔は太陽の様に輝いているけれどその輝きと比例する様に悲しい思いもして来た。

涙を見たことがない。

男の子は泣いちゃいけないとか、そんなんじゃない。
自分は何度泣いただろう。自分よりもっと辛い筈なのに…アイツは泣かない。そしていつも

困った様に、笑う。

ソレが涙の代わりだと気付いた時、また泣きたくなった。

涙より見たくないものがあるなんて知らなかった。
笑顔なのに笑顔じゃない。
泣きたくなった。
好きだったのに。
太陽の様な笑顔が
向日葵の様な笑顔が

知ってる? 向日葵の花って太陽に向かって咲いてるって。
青い空にその黄色がとても映えて綺麗なのを。
いつも空に向かって、太陽を目指して
その背中が
その姿が
とても青空に映えている
笑顔が好き。
だから
涙を見せて
その雫(あめ)の一滴一滴が花を咲かせる糧となるから

雲間から蒼空が覗いてまた太陽が出て来た。さっき降った雨粒がキラキラと輝いて
向日葵がまた顔を上げた。
その金色の光。
アイツの笑顔。
また見せてくれるよね。っていうか、見せなさいよ
その向日葵の笑顔を



漆黒の髪、夕闇の様な黒色の瞳。
その青い軍服とは正反対の赤い焔が彼のイメージ。

その過去はその燃え盛る焔の様な心とは裏腹で。その自信に満ちた顔の奥底は冷静でいて時に情熱的。その自信と比例する様に悲しい思いもして来た。

笑顔を見たことがない。

大人だからとかではない。
自分は笑えただろうか。自分よりもっと辛い思いをしているから…笑って欲しいと思う。あの時から

どこか遠慮した安堵の表情

ソレが笑顔の代わりだと気付いた時、また思った。

安心して欲しいと思う反面、その安堵の表情に不安を覚えた。
安堵なのに安堵じゃない。
心配になった。
誇りだった。
漆黒の輝きの様な揺るぎなさが
夕闇の中に輝く月の様な自信と安心が

知っていますか? 夕闇が漆黒と形容されることを。
赤い夕日がその闇に包まれる黄昏時、太陽と月が入れ替わる様がとても叙情的なのを。
いつも深い闇の中に静かに、月光が道を照らし出すのを
その背中が
その姿が
とても力強い
微笑みが好き。
だから
心配しないで
その月(ひかり)が映し出すものは決して幻影ではない本物だから

夕日が沈み星空が覗いてまた月が昇って来た。さっき霞がかっていた霧が晴れて
皓々とした光が道を照らし出す。
その闇を照らす光。
彼の微笑み。
また見せてくれますか。いいえ、見せて頂かなければ私達のいる意味がない
その月の様な微笑みを





・・・エドと大佐を想うウィンリィとリザ姉さん。
対になっておりますが、二人の想いの行き先は同じ場所であって・・・

雪は皓露の描く世界が大好きです
常に綺麗でいて、読み終わると自然と感嘆の声があがるのです
まさに憧れ 雪の目標です!
皓露、素晴らしいSSを本当にありがとうございました!!