―――Anniversary――― |
仕事から帰って家のドアを開けた途端、パン!と何かが弾ける音がした。 次に、細い糸のような色とりどりの紙が舞う。 それがクラッカーだと気付くのに数秒かかった。 「お帰り、悟能」 悪戯好きな子供のような笑顔。 「びっくりした?」 「…まあね」 出迎えの代わりがクラッカーでは、大概の人は驚くと思う。 無邪気な花喃の笑顔に、僕は苦笑いを返した。 「今日は何の日か知ってる?」 「え…?」 今日。 誕生日ではないし、特に何かの記念日を決めたりする習慣もなかった。 …何の日、だったっけ。 「悟能と私が出会ってちょうど一年なのよ」 「…あ」 ああ、そうだったのか。 「よく覚えてるね」 「忘れないわ」 きっぱりとした口調。 「ごめん、覚えてなくて。何も用意してなかった」 「いいの。悟能が忘れても、私が覚えてるからいいのよ」 それより、と花喃はテーブルを指差し、 「悟能に教えてもらったケーキを焼いたの。うまく焼けたから味見してね」 ふわふわと漂う甘い匂い。 「花喃」 「なあに?」 「ありがとう」 大きな幸せに包まれて、僕は花喃を抱きしめた。 君がいてくれてよかった。 「大好きよ、悟能」 「うん」 今日は二人だけの記念日。 + moondrop + の愁花さんから頂いてしまった悟能×花喃小説! 最遊記の中で一番好きなカップリングです!癒される・・・! 欲しいと駄々をこねた折、早速送って下さった優しい愁花さん そのお心と小説で満たされました!本当に有難うございました! |